Basicsカスタマーハラスメントについて知ろう

「カスハラ」は、単なるクレームとは異なる、従業員の就業環境を害する行為です。 正しい知識と組織的な対応で、健全な職場環境を守りましょう。

参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(令和4年2月)

カスハラの定義 次の3つの要素をすべて満たすものです。

職場において行われる、

  1. 1 顧客等(※)が行う行為であること。
  2. 2 社会通念上許容される範囲を超えた言動であること。
  3. 3 労働者の就業環境を害すること。

※顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の事業者の行う事業に関係を有する者(今後商品の購入やサービスの利用等をする可能性がある者も含む)。

具体的なカスハラの例

  • 威圧的な言動

    威圧的な言動

  • 過度な謝罪を強要

    過度な謝罪を強要

  • 許可なく撮影し、SNSへ投稿する

    許可なく撮影し、SNSへ投稿する

  • 長時間に渡る居座りや電話

    長時間に渡る居座りや電話

01

カスハラの基本的な考え方

顧客対応の現場では、正当なクレームと不当・悪質なクレームが混在することがあります。 重要なのは、顧客等の「言動の内容」と「手段・態様」の両面から判断することです。

言動の内容が正当であっても、その手段が社会通念上許容される範囲を超えている場合は、カスハラと判断される場合があります。 また、企業には従業員をこうした悪質な行為から守る義務があります。

⚠️
カスハラは個人の問題ではなく、組織全体として取り組むべき課題です。 適切な対応を行わない場合、企業や管理者が安全配慮義務違反等として責任を問われる可能性があります。
02

正当なクレームとカスハラの違い

顧客対応の現場で最も重要なのは、以下の2つを区別することです。

✔ 正当なクレームの例
  • 商品・サービスの不具合に対する指摘
  • 改善を求める合理的な要望
  • 社会的に妥当な範囲の要求
  • 建設的な対話による解決を求めるもの
✘ カスハラに該当し得る行為の例
  • 不当・過剰な要求
  • 理不尽な言いがかり
  • 従業員が就業する上で看過できない程度の支障が生じる言動
  • 社会通念を逸脱した手段・態様

企業には、顧客等の声を真摯に受け止めつつも、悪質な行為から従業員を守る責任があります。 正当なクレームには誠実に対応し、カスハラには毅然とした姿勢で臨むことが求められます。

03

カスハラの主な類型(具体例)

個別の事案の状況等によっては、カスハラに該当するかどうかの判断が異なる場合があります。ここに挙げたものは一例であり、事業主は、従業員からの相談に幅広く対応するとともに、適切な対応を行う必要があります。

言動の内容が社会通念上許容される範囲を超える言動

01 そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求
  • 性的な要求や従業員のプライバシーに関わる要求
02 契約等により想定しているサービスを著しく超える要求
  • 契約内容を著しく超えたサービスの提供の要求
03 対応が著しく困難又は対応が不可能な要求
  • 契約金額の著しい減額の要求
04 不当な損害賠償要求
  • 商品やサービス等の内容と無関係である不当な損害賠償要求

手段や態様が社会通念上許容される範囲を超える言動

05 身体的な攻撃(暴行、傷害等)
  • 殴る、蹴る、叩く等の暴行
  • 物をなげつける
  • わざとぶつかる
  • つばを吐きかける
06 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言、土下座の強要等)
  • SNS等のインターネット上で従業員のプライバシーに係る情報の投稿等
  • 従業員の人格を否定するような言動。相手の性的指向・ジェンダーアイデンティティに関する侮辱的な言動
  • 土下座の強要
  • 盗撮や無断での撮影
07 威圧的な言動
  • 大きな声をあげて従業員や周囲を威圧
  • 反社会的な言動
08 継続的、執拗な言動
  • 同様の質問の執拗な繰り返し
  • 話のすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立て
09 拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)
  • 長時間に渡る居座りや電話で従業員を拘束

これらは従業員の安全や精神状態に大きな影響を与える行為であり、 法的措置の対象となる可能性もあります。

04

カスハラが企業に与える影響

カスハラは単なる顧客等とのトラブルではなく、企業経営にも深刻な影響をもたらします。

従業員への影響
  • ストレス増加によるメンタルヘルスの不調
  • 業務パフォーマンスの低下
  • 離職・休職者の増加
  • 職場全体のモチベーション低下
企業への影響
  • 生産性・業務効率の低下
  • 対応コストの増加
  • ブランドイメージの低下
  • 法的リスク・責任問題の発生
⚠️
適切な対応を行わない場合、企業や管理者が安全配慮義務違反として 法的責任を問われる可能性があります。従業員保護は企業の重要な義務です。
05

企業に求められる対応・姿勢

企業はカスハラに対して組織として毅然と対応する必要があります。 特に、以下の4つの姿勢が重要です。

  1. 1
    従業員を守ることを最優先とする
    従業員の安全および精神的健康を確保することを、最優先事項とします。
  2. 2
    不当な要求には毅然と対応する
    社会通念を逸脱した要求に対しては、明確に断るなど、組織として毅然とした対応が重要です。
  3. 3
    社内で統一された対応方針を持つ
    個人に対応を委ねるのではなく、組織として対応マニュアルや相談窓口を整備します。
  4. 4
    必要に応じて法的対応も検討する
    脅迫や名誉毀損などの行為については、警察や弁護士と連携し、法的対応を検討することが重要です。
06

社会全体で取り組むべき課題

カスハラ問題は企業だけでなく、社会全体の課題です。 行政・企業・顧客等が連携して取り組むことで、お互いを尊重する顧客関係と働きやすい社会を実現できます。 そのため、県では、カスハラに関する正しい理解の促進に向けた情報発信を行い、社会全体での取組を後押ししていきます。

顧客側の理解促進
広報の推進
行政・企業の連携強化
相談窓口の整備
お互いを尊重する顧客関係の構築
働きやすい職場環境づくり

従業員が安心して働ける環境は、結果として従業員の顧客等への対応力等の向上にもつながります。 カスハラをなくすことは、企業・顧客等双方にとってメリットのある取組です。

まとめ

カスタマーハラスメントとは、単なるクレームとは異なり、 社会通念上許容される範囲を超えた言動により従業員の働く環境を害する行為です。 正当なクレームには誠実に向き合い、商品・サービス等への改善に活かすとともに、不当・悪質なクレームには組織として毅然と対応することが求められます。

正当なクレームとカスハラを区別する
組織的な対応体制・マニュアルを整備する
社会全体でカスハラに対する正しい理解とカスハラゼロの認識を共有する
参考資料・関連情報 本ページは以下の資料を参考に作成しています。
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(令和4年2月)(PDF)
職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)